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遺言書が無効になってしまう事ってあるの!?

「遺書」と「遺言書」。
皆さんは、この違いをご存知でしょうか?
この違いこそが、まさに、「遺言書が無効」になってしまう事があり得ることの答えなのです。
ご家族などへの「想い」があって、せっかく書いた遺言書なのに、効力が生じないのではザンネンですよね。

この記事をお読みいただくと、遺言書が無効になってしまうポイントと、その対処の仕方が分かります。

これまでに、相続人が複数の方、身寄りのない方、余命いくばくもない入院患者の方等、ご事情も様々な方々の遺言書作成をお手伝いさせていただいた、遺言書を専門とする行政書士が、わかりやすく解説をいたします。

 

【遺言書にはどんな効力があるの?】




「遺書」と『遺言書』の違い。
大まかに表現をしますと、形式も内容も、法律上のルールのない自由な遺志表示が「遺書」です。この為「辞世の句」も遺書の一種と言えますね。

一方で、形式的な様式も効力が生じる内容も、民法という法律によって厳格に規定をされているのが『遺言書』です。そして厳格に規定をされているからこそ、そのルールを守って作ることで、遺言者の遺志に法律上の効力を持たせることができます。
この効力を持たせることができる内容を、「遺言事項」と言います。
遺言事項は、大きく3種類に分けられます

1つ目は、「財産関係」。
特定の財産を特定の人に譲りたい、特定の人には譲りたくない、そのような場合に役立ちます。

2つ目は、「身分関係(親族関係)」。
例えば、生前には事情があって認知をできなかった子に対して「遺言認知」をすることで、子に相続権を生じさせることができます。このように身分関係についても、遺言書であれば法律上の効力を生じさせられます。

3つ目は、「遺言執行者」。
せっかく遺言書を書いても、それが実現してもらえなかったら意味がないですよね。そうならないようにする為に、遺言書で「遺言執行者」を選任しておくことが大切です。

以上のような効力が、遺書では実現できない、遺言書だからこその効力です。

それでは次に、遺言者自身で書く「自筆証書遺言」について解説をしていきます。

 

【自筆証書遺言に関するルールは何が変わったの?】




遺言書には大きく分けて、公的機関の公証役場が関与する『公正証書遺言』と、遺言者自身のみで作成ができる『自筆証書遺言』に分けられます。
この内、自筆証書遺言のルールは、2019年から2020年にかけて段階的に改正がされています。
改正箇所の全てが施行されるのは、2020年7月10日と予定されています。

かつてのルールでは、「全文・日付・氏名を自署し押印」とされておりました。
『全文を手書き』で書くというのが形式的なルールだったのです。
書きたいことや遺したい財産が多い場合は、書くだけでも一苦労ですね。

そこで、「全文を手書き」のルールが一部緩和されて、「財産目録」部分については、パソコン打ちで良くなったり、通帳のコピーでも良くなったり、不動産については登記事項証明書でも良くなったりしました。
これは、財産の記載間違いを防げるという意味でも、とても良い改正だと思います。

また、2020年7月10日からは、『法務局において自筆証書遺言書を保管する制度』が施行される予定です。この制度については、法務省のホームページで、とても分かりやすく解説をしてくれています。
この制度の良い点は、『検認』手続きが省略できるという点です。

「検認」は、遺言書が偽造や変造をされていないかなどの形式的な調査を家庭裁判所がする手続きのことです。
民法第1004条で、公正証書遺言「以外」の遺言書は、原則として、この検認手続きを経なければならないとされておりますが、ただでさえ案件数の多い家庭裁判所での手続きですので、日数がかなりかかります。この為、例えば自筆証書遺言で銀行預金を相続してもらった相続人が、早く預金を引き出したいと思っても、それがナカナカ実現できなかったりという不便さがあります。

この点を改善する為に、「法務局において自筆証書遺言書を保管する制度」を利用した場合は、自筆証書遺言であったとしても「検認」手続きを省略できるとされました。この点は、「改善」だと思えます。

一方で、不便な点もあります。
それは、代理申請などができず、必ず遺言者本人が法務局へ申請に行かなければならないことや、住所や氏名が変わった時はその申請もしなければならないことなどです。
やはり、万能な制度というものはないですね。

今は「検認」というポイントで公正証書遺言に少し触れましたが、公正証書遺言については、また別の記事で解説をいたします。
ご事情に応じて選択できる制度があるというのは、良いことですね。

それでは、次に、遺言書が無効になってしまう注意点をお話いたします。

 

【せっかく書いた遺言書が無効になってしまわないように】




無効になってしまう理由は大きく分けて2つあります。
1つは、「形式・様式」がルール違反(「形式的な無効」)。
もう1つは、認知症などを理由として「法律行為が無効」(「実質的な無効」)。

形式的な無効としては、以下のようなものが例として該当します。
1.財産目録「以外」の文が手書きでない
2.押印がない(但し、実印である必要はありません)
3.日付の記載がない(「令和2年1月吉日」などの記載も無効です)
4.動画やレコーダーなどへの映像や音声はあっても、書面で作っていない
5.1通の用紙に夫婦共同で遺言書を兼用している

実質的な無効としては、以下のようなことが例として該当します。
1.重度の認知症の為、民法上、法律行為が無効とされる
2.誰かに強要されて書いた(遺言者の真意ではない)

以上のような場合には、遺言書が無効となりえます。

 

《まとめ》


この記事では、遺書と遺言書の違いや、自筆証書遺言の改正、無効になってしまう事例などをお伝えさせていただきました。
ポイントは、以下の内容となります。

1.遺書とは違い、遺言書には法律上のルールがある。
2.自筆証書遺言のルールが緩和されたが、良い点もそうでない点もある。
3.形式的・実質的な理由で無効となってしまうことがある。

想いがあるからこそ作る、遺言書。
ちゃんと「想い」を伝えられるように、実現できるように、遺言書を作成なされる際には、遺言書の作成に詳しい専門家にご相談をなされることをお勧めいたします。

遺したい方に、想いが伝わりますように。
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